東京高等裁判所 昭和58年(ウ)1272号 決定 1984年2月20日
控訴人(申立人)
有限会社グッパー
右代表者
矢野三千男
被控訴人
日本弁護士連合会
右代表者会長
山本忠義
右訴訟代理人
後藤明史
五百蔵洋一
被控訴人
国
右代表者法務大臣
住栄作
右指定代理人
平賀俊明
外一名
主文
本件申立てを却下する。
理由
第一申立の趣旨及び理由
本件申立ての趣旨は「被控訴人日本弁護士連合会は別紙目録(一)ないし(五)記載の文書を当裁判所に提出せよ。」というのであり、その理由は、別紙文書提出命令申立書(以下申立書という)記載のとおりである。
第二当裁判所の判断
一別紙目録(一)ないし(四)記載の文書について
被控訴人日本弁護士連合会が右(一)ないし(四)の各文書を所持していることを認めるに足りる証拠はなく、また、東京弁護士会あるいは大阪弁護士会が右各文書を所持する場合について懲戒手続規程等に基づいて、弁護士懲戒事件の審査請求手続、異議申出手続に関連して、同被控訴人が右各弁護士会に右各文書の提出を求めうるとしても、これをもつて直ちに同被控訴人が右各文書を所持しているのと同視して、同被控訴人が民訴法三一一条にいう「文書を所持する者」にあたるということはできない。
したがつて、控訴人の右(一)ないし(四)の各文書提出命令申立はその余の点について判断するまでもなく理由がない。
二別紙目録(五)記載の文書について
控訴人は、右文書が控訴人と被控訴人との法律関係につき作成されたものであり、民訴法三一二条三号後段に該当すると主張するが、弁護士懲戒異議申出事件についての同被控訴人懲戒委員会の議事録は異議申出人たる控訴人と同被控訴人との法律関係につき作成されたということはできないから、右主張は失当であり、右文書の提出命令申立も理由がない。
第三結論
よつて、控訴人の本件申立はすべて理由がないので却下することとし、主文のとおり決定する。
(森綱郎 片岡安夫 小林克巳)
(別紙)
目録
(一) 訴外原東京弁護士会綱紀委員会がなした、昭和五五年四月一四日付会員弁護士吉田欣二を懲戒に付さないことを相当とすると議決した議決書に引用した(甲第一八号証の二ご参照)被懲戒申立人弁護士吉田欣二が提出した乙第一号証及び乙第三六号証までの文書。
(二) 訴外原東京弁護士会綱紀委員長谷川哲也氏名による昭和五四年十一月二日付回答書(甲第一五号証の一ご参照)に記載された、被懲戒申立人弁護士吉田欣二を一三回以上にわたる手続により調査審理したと称している調査資料、調書及び議事録。
(三) 訴外更生会社永大産業株式会社の更生管財人代理弁護士坂本秀文に対する懲戒申立事件で、同人がその所属大阪弁護士綱紀委員会に提出した答弁書(甲第三〇号証の二)に記載されている乙第一号証より乙第十七の三号証までの全添付書面。
(四) 訴外原大阪弁護士会綱紀委員会の、同会所属弁護士坂本秀文に対する懲戒申立事件についての昭和五四年第八号議案の調査資料、調書及び議事録。
(五) 被控訴人日本弁護士連合会懲戒委員会の、日弁連昭和五五年懲(異)第一二号異議申出事件及び日弁連昭和五五年懲(異)第一四号異議申出事件に対する審査期日調書及び議事録。